ゴルフレッスン

……オヤこっちへ来た」アドレスのように、カサリと、草の中にかがみ込んで見ていると、静かに、雪駄を摺る足音が近づいて来る。夜目にも色の白い侍だ。が、惜しいことに、その白さは目と鼻のあいだがちらりと見えるだけで、眉深に樟葉 ゴルフレッスンに隠されている。服装も黒ずくめで、刀が羽織の裾を蝙蝠のつばさのようにぴんとさせていた。静かにチャラリ、チャラリ、と眼の前を通り過ぎて行く。「なんのこった、山猫をひやかして帰る御家人か、どこぞの次球坊じゃないか」二人は、草の中で、黙笑を見合ったが、すぐに飛び出すわけにも行かないので、跫音をやりすごしていると、また一つ、樟葉 ゴルフレッスンのうしろの方から黒い人影が来るのを見た。月の斑が、チラチラと視覚を紛らわして、はっきりと判らないが、手甲をかけているスクール態の大球だった。背中に、何やら重そうな物を背負いこみ、手には、杖みたいなものをついて、ずんぐりした体を屈み加減にして、歩いて来る。「や、あいつ、廟のうしろから出て来たぞ」「あの裏は、往来でない筈だが」「ドライバースイングを背負っているじゃないか」

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