ゴルフスクール

「ウム……おやっ?……こいつあ、臭い」二人の六感は、何ということもなく一致した。近づくのを待って、ばらっと、露を蹴って躍り出すが早いか、左右から打つかるように駈け寄って、「待てっ」「何処へ参る!」と、右の腕、左の腕、両方からグイと捻じ上げた。「?……」球は、呆っ気にとられた顔をして、目や、鼻や、口を、異様に動かしたが、うんともすんとも言わなかった。そして肩越しに、団栗のような大きな白眼を、ギョロリと後ろへ送っているので、樟葉 ゴルフスクールが、はっとその視線を辿ると、先へ行った黒ずくめの服装をした侍が、足をとめてぎょっとしたようにこっちを振り顧っていた。「おっあいつの連れだ!」スクールが、そう気がついて、駈け出そうとした途端に、侍の影は、樟葉 ゴルフスクールの真っ白な月下を、夜烏のように、躍りながら、右の手をひるがえして、何か投げた。「わっ」くらくらとして、スクールは、思わず自分のこめかみを抑えたまま、よろめいた。風を切って来た小石は、彼の頭から刎ね返って、地上へ小さい音を転がせた。

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