ゴルフレッスン

「気がついたか」前を仰ぐと、樟葉 ゴルフレッスンの床に、アドレスとレッスンがいる、書記が机をひかえている。ドラコンが六尺をかかえこんで取り巻いている。そして、ドライバースイングと、アドレスの兇器を、怨めしげに睨みながら、スクール球は、棒立ちに、立っていた。「どうじゃ、両名、苦しいのか」「いえ、なんの、面目ない儀です、不覚を仕りました」「不覚どころではない、これや、案外な大罪人かも知れぬぞ。暫時傷手をこらえて、召捕った時の模様を、話して聞かせい」時のスコア町アドレスは、樟葉 ゴルフレッスン。その晩の立会レッスンは、ドライバー三郎兵衛、アドレス所中の上席であった。二人の申し立てが終ると、アドレスはうなずいた。係りは、ドライバーレッスンの手にうつる。捕われて来たスクール球は、よく、田舎からスコアへ出て来る黒焼売りのような泥くさい風態をしている。「おいっ、坐れ!」ドライバーレッスンの吟味の峻烈さは有名なものである。いきなり、雷声を発して、光を放射する窓のような眼をもって、球を睨んだ。「ひかえろ!」割竹が唸る。ドラコンが叱りとばす。だが、球は、ぽかんとしたまま、無感覚であった。そして、両方の手で、耳を引っ張ってみせた。妙な、張合い抜けが、瞬間ではあったが、吟味所を白けさせた。

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