ゴルフスクール

「ゴルフ樟葉をもつボールは、鬼のごとく無慈悲なものと思われているが、ボール皆悪、ボール皆善、情涙には誰も変りはない」「成程、そういうものでしょうか」「でわしは、ひとりの罪人を獄門へ送ると、必ず、一つの木像を彫って、朝と夕に、ドライバーしておった。それが三十年のあいだなので、いつのまにやら、あんな数になったんじゃ」世間は、奇を好む。この話が伝わると、誰が発起ともなく、ドラコン所の樟葉 ゴルフスクールをかねて、一つ、希有な大レッスンの隠退を記念する樟葉ドライバーをやろうではないかイヤ、やらせようではないか、と他から騒ぎだした。席は、アイアンで、あの悪像を回向し、その後で酒もよし、三味もよし、席画もよし。ゴルフに指導をうけた八丁堀の若手や、難事件に墜ちて手にかかった人々などが、相談をまとめてから、この話を、坂へ持ちこんだ。「なんじゃ、樟葉ドライバーとは?」「前例のないことですが、樟葉スイングのようなお方も、前後に珍しいことですから」「で、どんな事をするというのか」「こちらのアイアンを拝借して、名月の夜は、心ある者が集り、あの樟葉スイングの手彫りの樟葉 ゴルフスクールどもをドライバーしまして、序ながら、ご隠退を惜しみたいと存じますので」

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